ネットバンクの不正送金の被害が増えている昨今、対策としてセキュリティソフトの導入は必須です。セキュリティソフトの中にはネットバンキングの不正送金を防止する機能があるものがあります。
ネットバンク専用PCでより安全にネットバンキングが利用できるような保護機能を提供しているセキュリティソフトを比較します。
ネットバンク用PCに適したセキュリティソフトのポイント
まずネットバンキング専用PCを選ぶときのポイントを紹介します。
セキュリティ性能が高い
セキュリティソフトですからまずはセキュリティ機能が高いというのが一番です。
ネットバンクの被害は、主に
(1)サイト閲覧等によるウイルス感染
(2)URLクリックによるフィッシングによるID等の情報漏洩によるものです。
上記の2つは混同されがちですが、
(1)ウイルス検出機能が高い(ウイルスを検出できる)、ウイルスの駆除性能が高い
(2)インターネットの詐欺サイトをブロックする性能が高い
という性能2つに分けられます。
(1)は、アンチウイルスソフト、(2)は、フィッシング対策ソフトでカバーされています。
フィッシング対策ソフトは、Trusteer RapportやPhishWallといったネット銀行が無償で提供しているものがあります。
大抵のウイルスセキュリティソフトは総合的にアンチウイルス対策とフィッシング対策を提供していますが、それぞれソフトによって得意な分野があります。
Trusteer RapportやPhishWallといったネットバンク用のフィッシング対策の専用ソフトも併用する方は、アンチウイルスソフトと競合しないという点も重要でしょう。
ネットバンク保護機能がある
各セキュリティソフトでは、基本的な保護機能は提供しており、ある程度は防ぐことはできます。
しかし、不正送金の手段は、2段階認証を突破したりと高度化しており、より安全にネットバンキングを利用できるような機能を提供しているセキュリティソフトも存在します。
仕組みとしては、ネットバンクにアクセスする際に、専用のブラウザが起動し、キー入力とブラウザの間の通信を暗号化し、たとえ盗み取られたとしても、意味のない文字列しか盗まれないようにしており、IDやパスワードが盗み取られないように対策が図られています。
ネットバンキング保護観点でのセキュリティソフト比較
オンラインバンキングの保護という観点でのセキュリティソフトの機能を評価するには第3者評価機関の調査結果が参考になります。
下記のMRGは、ITセキュリティの評価や調査の世界的な機関です。
調査結果は、毎年公表されており、下記は2020年の第一四半期に金融のセキュリティ脅威に対する各セキュリティソフトの保護性能を調査した結果になります。
MRGのレポートによると受賞したソフトは、金融マルウェアやあらゆる危険に直面する利用者がオンラインバンキング利用やオンラインショッピングをより安全に行えることを示しています。
まず結論からいうと
20201Qのテストを通過したセキュリティソフトは以下の2つになります。
・Kaspersky Internet Security
毎四半期ごとにテスト結果が公表されているのですが、Kaspersky Internet Securityは毎年テストを通過しており、セキュリティソフトとしての機能は最高峰です。
その他、ESETもテストを通過している年が多く、セキュリティ機能が優れています。
ESETはKaspersky Internet Securityに比べると非常に動作が軽いことが特徴です。
毎年の調査結果も考慮するとセキュリティ機能が優れているのは以下の4つでしょう。
Bitdefender Internet Security
ESET Internet Security
Avira Antivirus Pro
上記は、実在する様々な金融マルウェアを使ったテスト結果です。
このテストでは、BitdifenderとESET、windows Deferderが優秀な結果を残しています。緑色は、自動でブロックした、水色はアラートがでてきて手動でブロックしたということなので、水色部分が多少あっても問題ありません。
グラフ上で赤い部分があるソフトは、マルウェアを見逃してしまったので、避けた方がよいでしょう。
又、ボットネットテストとシュミレータテストも実施しており、以下の表にまとめました。
細かいテスト内容は、把握する必要はないですが、要は安全にオンラインバンキングを利用できるかどうかのテストで〇がテストに通過した、×が通過できなかったということです。
Botnet test | Simulator test | |
Avast Premium security with secure Browser | 〇 | 〇 |
Avira Antivirus pro | 〇 | × |
Bitdefender Internet security 2019 with SafePay | 〇 | 〇 |
ESET Internet Security with banking protection | 〇 | × |
Kaspersky Internet Security with SafeMoney | 〇 | 〇 |
McAfee Total protection | × | × |
Microsoft windows Defender | × | × |
NortonlifeLock Norton security | 〇 | × |
Trend Micro Maximu security with PayGuard | 〇 | × |
Zemana Antilogger | 〇 | × |
Botnet test:〇ログインデータの収集するマルウェアを阻止できた。×阻止できなかった
Simulator test:〇シュミレータをブロックできた。×ブロックできなかった
Botnet Testは、ボットネットを模したシステムと取引する際に、決済データの漏えいを防止できるかのテストです。ボットネットは、マルウェアへの感染などでボット化し、攻撃者の支配下におかれた状態にあるコンピュータ群のことを指します。
実在するマルウェアが使用されるので、現実世界での脅威へ対応できるかがテストされます。
Simulartestは、実際のオンラインバンキングシステムを利用して通常のユーザーの行動をシュミレートして、ユーザーが認証フォームにログインデータ(ユーザー名、パスワード)を入力して、ログインボタンをおすとサーバーに情報が送信されます。これをセキュリティソフトがブロックできたかどうかというテストです。
各セキュリティソフトの比較
続いて、各セキュリティソフトをネットバンク用のセキュリティソフトという観点からセキュリティソフトの性能とネットバンキング保護機能の観点から比較します。
カスペルスキー セキュリティ
カスペルスキーは、ロシアの有名なセキュリティ会社です。マルウェア対策だけでなく、フィッシュング対策の機能もある総合セキュリティソフトになります。
性能を一番に求めるのであれば、カスペルスキーを選べば間違いないでしょう。
セキュリティ性能
カスペルスキーは、上記のようにオンラインバンキングの評価テストでは毎年テストをパスしており、有力な候補になるでしょう。
ネット決済保護技術に関して他の第3者評価機関の評価でも高い評価を受けています。
ネットバンク保護機能
ネットバンキング や オンライン決済システム の Web サイトを開こうとすると、自動でネット決済保護 を使用し、保護されたブラウザーで その Web サイトを開くことを推奨するメッセージが表示されます。
保護されたブラウザーで Web サイトを開くと、個人情報の流出や、スクリーンショットの不正な撮影から保護され、安全にネットバンクを利用できます。
価格は以下のようになっており、高機能な分高めとなっています。
又、高機能な分、ESETに比べるとやや重くAtomのような低機能なCPUだと快適な操作は厳しいという点は注意が必要です。
1台 | 5台 | |
1年 | 4,054 | 5,072 |
2年 | 7,109 | 9,422 |
3年 | 9,147 | 12,375 |
・暗号化されたブラウザーで決済
・フィッシング対策機能で個人情報の流出を防止
・キー入力による情報漏えいの防止
ESET
ESETは、動作の軽さ、セキュリティ性能、価格の安さを両立させたマルウェア対策だけでなく、フィッシュング対策の機能もある総合セキュリティソフトです。
ネット銀行に使用している端末があまりスペックが高くない機種の場合、動作が軽いというのも普段使用する上では重要なポイントになります。
ESETは性能と軽さを両立しており、おすすめできるポイントです。
セキュリティ性能
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションによる調査「セキュリティソフト」部門において、ESETが4年連続で事業者6社のうち第1位を獲得しています。
この調査においてESETは、ウイルスの検出率など防御力が高い、動きが軽快の項目で業界トップクラスの評価を得ています。
セキュリティソフトの中では動作が軽く低スペックのパソコンでも快適に動作することが特徴の一つになっています。
既知のウイルスはもちろん、高度化・巧妙化する新種や亜種などの未知の脅威に上記の多層防御機能で対抗しております。実は、ESETの検出技術は、Google Chromeクリーンアップルツールにも採用されており、Googleにも認められた検出技術を有しています。
なお、ESETは、Trusteer RapportやPhishWallといった製品と併用が可能ですが、ネットバンク保護機能については、同じような機能を提供しており、併用が難しいのでどちらか一方を選択して利用することになります。
https://eset-info.canon-its.jp/files/user/pdf/support/esetv140_phishing.pdf
ネットバンク保護機能
ネットバンクサイト等へアクセスしようとするとESETのセキュアーブラウザーが自動起動され、キーボード入力した情報はすべて暗号化され、インターネットバンキング保護機能により保護されます。キー入力とブラウザの間の通信を暗号化し、たとえ盗み取られたとしても、意味のない文字列しか盗まれないようにしており、キーロガー対策が図られています。
セキュアーブラウザーが起動している場合、ブラウザー画面は緑色の枠で囲まれ、画面右側にアイコンが表示されます。
価格は以下のようになっており、1台3年、5台3年の長期利用の優遇が手厚く、カスペルスキー セキュリティと比較してもお得な価格になっています。
1台 | 3台 | 5台 | |
1年 | 4,950 | 6,160 | 7,480 |
3年 | 6,600 | 8,250 | 9,900 |
・性能がよいわりに動作が軽く、
・暗号化されたブラウザーで決済し、キー入力による情報漏えいの防止
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